みらい館大明〜19年目の夏〜

 みらい館大明の校庭に、1本の木が立っている。「ここで1番最初に植えられた木なの」ーー

 微笑みながら答えてくれたのは、池袋みらい国際映画祭の会場となった小学校の閉校施設「みらい館大明」の館長で、施設を運営するNPO法人みらい館大明理事長の杉本カネ子さんだ。

廃校が決まった小学校 “ 残すことできないか ” ーー

 みらい館大明の前身である「豊島区立大明小学校」は多子若齢化(子どもが増加傾向の社会)で、子どもの受け入れ施設を増やすことが急務であった昭和26年(1951年)、池袋第5小学校からの分校としてに開校された。杉本さんは昭和49年(1974年)に豊島区に移住、子どもが生まれ大明小学校に入学。保護者として校外委員長などを経て、平成4年(1992年)から豊島区が行う「地域の運営協議会」の会員となり、平成7年から大明小学校の施設運営委員長となった。

 大明小学校が統廃合されることが決まった平成9年(1999年)に杉本さんらが“なんとか残せないか”と立ち上がった。「大明小学校の廃校後の施設を考える会」代表となった杉本さんは平成16年(2004年)に請願書を区に提出、翌年に認められ平成17年10月から「みらい館大明」として地域住民らが集まる生涯学習施設として歩み出し、今年で19年目の年となった。

 閉校となった年まで大明小学校の生徒として通っていた緑川裕也さんは「図書室に今と同じようにくぼんでいる箇所があって、そこで先生が生徒たちに絵本を読み聞かせる “読み聞かせ” というのがとても印象深いですね」と当時を懐かしむ。

 毎年7月に行われる盆踊りは、大明小学校の頃から続いている行事だ。緑川さんも毎年参加し、杉本理事長とはその頃からの縁だという。 

 緑川さんは現在、みらい館大明のスタッフとして旧図書室であるブックカフェで働いている。「毎日通っていた場所、同じ通学路を辿って。地域の方々との縁、温かさを感じながら日々働いています」と照れながら話すと、今後について「地域の方々との交流など、プロジェクトを回しながら貢献していきたい」と抱負を語った。

 もともとは保母さんになりたかったという杉本さんは「子どもたちが大好きなんです。人が好きです。根本的には。ここ(みらい館大明)をやるのもそう、人が好きだから」と話す。

 「(今でも)みんなここに来て挨拶してくれる。それは昔から子どもたちをずっと見てきているし、声かけして。そういうのが多分(今に繋がって)、してくれているのかなって思います」

 平日の昼間は高齢者がサークル活動し夕方からは演劇のレッスンなど若者が活動する。休日には子どもたちがグラウンドで習い事の運動を行い、祭事には活動の枠を超えて多くの団体が交流する。池袋という都会のなかで学校を舞台に多世代他文化交流を続けている。

みらい館大明は来年で20年目を迎える。

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